HAPPY LOVE 後編



「白谷さん?」

「はいっ!?あ、ゴメンなさい・・・ボーっとしてて・・・!」
「良いけど…ところで、久しぶりだね、こんな風に話すの。あの時以来?」
「あのこと・・・覚えてたの?」
「勿論。白谷さんと話しててすごく楽しかったからね。」
「うん、あたしもすごく楽しかった。」



二人で笑い合う。


「・・・さて、本題に戻ろうか?」

「あ・・・うん。」

「話したいってことって・・・何?」



相変わらずの優しい笑顔。
あたしの胸から響く鼓動の音は、彼にも聞こえるんじゃないかと思うくらい大きく響いていた。



「あ・・あのね、急でビックリするかも知れないんだけど・・・」




どんなに友達に無理だと言われようが、諦められなかった。




「あたし・・・あの時からずっと元川君のこと・・・・・・」




だってあたし、無謀でも良いって思ってたぐらいだもん。





「すきだったの!」






ねえ、分かってくれる?






「・・・え・・・?」



あたしが言ったあと、彼は本当にビックリした様子であたしを見つめていた。あたしは下に俯いたまま。上へ上げれば更に真っ赤になるだろうから。







あたしの身体の周りに何かが触れた。驚いて上を向くと彼の笑顔が目の前にあった。



「元川・・・くん?」
「あはは、まさか先越されるなんてね。」
「え?どういうこと?」
「俺も・・・白谷さんのこと、ずっとすきだったんだよ。」
「え?!ほ、ほんとに?!」
「うん。・・・でも、少し寂しいな。」
「どうして?」
「・・・本当に全然気付いてなかった?」
「・・え?」




「俺は、ずっと琴音のこと見てたんだけど・・な」




「・・・・え・・・・?!」


驚くあたしを見て彼はふっと微笑んで。それと同時に抱きしめる腕に力が強まった。


「元川くん。」
「何?」
「今日ね、あたしの誕生日なんだ。知ってた?」
「え?そうなの?俺、何も用意してないよ?」
「・・・・プレゼントなんて良いよ。」


あたしはクスクス笑いながら元川くんの背中に腕を回す。



「それじゃ・・・」


元川くんの腕が離れる。その瞬間、あたしの口は元川くんの口によって塞がれた。たった二,三秒がすごく長い時間に思えて。あたしは真っ赤になって元川くんの顔を見つめる。


「誕生日プレゼント、になるかな?」

「え?!えぇぇ???!!!」
「嫌だった?」
「や・・そんな、滅相も御座いませんです・・」
「俺のこと、名前で呼んでね?・・・琴音。」




「・・・・・・・うん・・・っ」








そう真っ赤になって言うと、元川く・・じゃなくって一稀くんは、見たことも無いくらいの眩しい笑顔で。そして、あたしの耳元でゆっくりと囁いた。
















「これから宜しく、白谷琴音さん?」









・・・こちらこそ宜しく、元川一稀くん。





人生のうちで、最高のバースディに、なりました。









. . . F i n . . .




1万打記念企画小説でしたー。今更1万打の記念企画だっけ、とか思い出しましたよ…(駄目)
一稀の一人称は「僕」か「俺」かどっちが良いかかなり迷いました。
まぁ結局あたしの好みで「俺」になったんですけど。爆

読んで頂きありがとうございました!