君の手はあたたかかった。
そこにはぬくもりしかなくて、もう何もいらないって思った。

だから、ねえ、これからも―――・・・





エトセトラ ♯15





「ほんと、ばかだよねえ」
「お前の口癖だよな、それ」
「だってばかだもん」
「うるせーよ!」




――あれから、ふたりで帰って、・・・その前に由紀と水口に謝って。
でも、ふたりとも呆れた顔して嬉しそうにしてくれた。
笑ってくれた。
その笑顔が嬉しくて私はもう一度泣いてしまって、今度は由紀に泣きついた。

・・・そのあと本田に怒られたけど。

親友なんだからいいじゃんって笑ったらすねたから繋いだ手を握り締めたら、笑ってくれた。


でもまあ、それからの生活は変わることはなく。
元々最初に話すようになってから一緒にいることが増えた私達だから、特別大きく変わることは無かった。あるとしたら、ふたりでいるようになったというより、四人でいることが増えたことくらい。気づいたら水口と私は仲良くなっていたし、由紀と本田は軽口を叩けるくらい仲良くなっていた。笑う回数が増えて、一緒に帰るようになって、前みたいな関係というわけではなくなったけど、それが幸せになった。


そう、もう私達は“恋人”として一緒にいる。

親友、じゃなく。


「そんなばかをすきなのは?」
「私ですけどなにかー?」


ふたりで、顔を見合わせて笑う。
こうやって笑っていたら、由紀にバカップルって言われちゃうんだけれど。
ばかみたいなことをずっと話して、手を繋いで、一緒にいる。
それが幸せだって気づいてしまうと、抜け出せない。


「ねえ、本田」
「んー」
「私ね、ずっと逃げてた」
「・・・うん」

「認めてしまって、変わるのが怖くて・・・。
 今の私があのときの私を思い出したら、ばかだなって笑っちゃうくらい。」

「なあ、」
「ん?」
「俺も逃げてたぜ?」
「・・・そうなの?」

まさか、そんなとこまで一緒とは思わなかった。
じっと見下ろして、笑う本田。
あの日から、本田は私をじっと見ることが多くなった・・・気がする。

「しかも、木川と全く同じ理由な」
「・・・なにそれー」
「仕方ねーじゃん、俺たち似過ぎてんだから」
「・・・そのせいで苦労したのね」

苦笑いして、もう一度手を握り締めた。
本田がそれに答えるように、それより強く握る。

「でも、・・・ああやって悩んだから、前よりずっと、本田がすきだなって思うの」
「まあ、な」

言ってから照れたけど、本当に本当の気持ちだから、伝えなきゃいけないんだ。
いさかいがあってから気づいたことはちゃんと実践しなきゃいけない。


言葉で、伝えること。
思っているだけじゃ気持ちはひとつも伝わらなくて。
何も言わずにただ親友として笑い合えた時間も確かに大切だった。
あのときはこのままでいいと思ってた。

でも、今は今のままがいい。


「・・・すきだよー」
「なに急に」
「伝えなきゃ伝わんないからさ、」

そうやってやさしく笑うこと、増えたね。
その笑顔が、ほんとうにすき。


「俺もすき、すっげーすき」
「うんっ」



「ねえ、本田」
「ん?」



「ずっとずっと、一緒にいれたらいいね」
「・・・一緒にいるんだろ?」


「・・・・・・うんっ」



















悩んで、回り道して、傷つけた。
でもそのかわり、今、この気持ちがあるの。

今がいちばん大切な時間だよ。 ずっとずっと、一緒にいよう?


しあわせとか、うれしさとか・・・
“etc”ってつけなきゃいけないくらいたくさんの気持ちを、一緒に感じよう。
いっぱいいっぱい、伝え合おう。



いつか一緒にいられる未来を誓い合うときがきたときに、
一緒にいた時間を、『早かったね』って笑いあえるように。



この時間を大切に、
大切に大切に、していこう。














I want to live together with you.
And our time is the best precious time.

Sadness,Happiness,Missing,


And ... Etc.




















終わったーーーー・・・
ながーい・・・かもしれないあとがき。