君と別れた翌朝。
目が覚めるとまだ夜が明けたばかりで。
ぽっかりと穴の空いた右隣。

どれだけ泣いても、もう、君は居ない。















私の望んだ結果には、ならなかった。どれだけ泣き叫んだって、君は。―振り向くことなんてなかったから。見渡せば君と半年過ごした部屋。溢れそうになる気持ちを抑えてぐっと唇をかんだ。―まだ、残っているそのぬくもり。

原因が何にせよ、この部屋から君は消えた。愛用していた歯ブラシと灰皿を残して。君のせいで煙草臭くなった部屋。それさえも愛しかったのに、。洗面台に並んだ少しだけ大きさの違う二本の歯ブラシも、もう意味を為さないのに私は捨てることが出来なくて。未だ、信じている。君が戻ってきてくれることを。


「・・・ふぅ」
パジャマのままテーブルに座って目覚めのコーヒーを飲む。少し残る眠気に打ち勝つようにぱっと目が覚めた。
「・・・でも、いないんだよね」
そうだ、それでも君はいない。信じたって帰ってなんてこない。




―♪〜♪♪〜〜♪

「・・・っ」
君専用の着信音。
思わず振り返って携帯を見つめた。
(出なきゃ・・・っ)
早く、早く。それでも身体は動かなくて。やっと動かした震える身体を必死に抑えて手に取ろうとした瞬間、プツっと音が切れた。


携帯を開くと、留守番メッセージ。
着信履歴を見ると確実にそれは君の名前だった。
「・・・?」
留守番メッセージを聞き終わると同時に、私は部屋から飛び出した。



・・・信じたい。
まだ、私には君が必要なんだよ。




別れるなんてできない。君のいない朝なんて想像もしたくない。ただ、ただ、。( 20050613 )