「もうすぐ夏だねー」
「ていうかもう夏だな。あちぃよ、マジで」

制服も気付けば夏服が似合う季節。
白いシャツが生ぬるい風にはためいて、どうも気持ちのよくない週末。


繋いだ手の体温が無駄なくらい伝わってきて、少しドキドキしているわたしがいた。







背伸びして笑う向日葵の向こう側、青と白だけがやけに目に沁みて







「あ、向日葵だー!」
「好きだな、向日葵」
「うん!ステキじゃない!」


にっこにこと笑って自身より少しだけ背の高い向日葵に駆け寄るわたしに、あきれた顔で笑うひと。
わたしは、その笑顔が大好きだ。
―――上を向いて笑い、上を向いて泣く。
夏休みが近いその日は、少しだけ荷物が多くて、荷物を降ろしてその眩しい大輪を見る。


背の高いその花に触れるように、手を伸ばす。


向日葵を見つめると同時に青い空と、それに映えるように白い雲が目に入る。
ゆっくりと流れるそれは、明日の天気が変わらないことを感じさせていた。


「・・・まぁ、真夏になったらもっと見れるわな」
「・・・わかってるもん。」



大好きな花のはずなのに、どうしてこんなにも切ないんだろう。
触れた瞬間に、不自然な涙が頬を伝った。

その大輪は、常に太陽の方向を向いている。枯れる、まで。

一夏を生き延び、人々に笑顔を与え、笑い続けるのだ。
けれど、その人生はどれだけ儚いことか。
1週間しか生きることの出来ない蝉よりも、ずっとずっと、切ない。



あなたの代わりに涙が出たのね、きっと。
泣くこともままならない、あなたのために。



「・・・おい、」
「へ、」


俯いて泣いていると、後ろにいた彼が気付いたら向日葵の向こう側にいて、『笑えよ』と呟いた。


満面の笑みで。


「・・・・・・まぶしい、な」
「は?なんだって?」
「・・・なんでもない、よ」


本当はなんでもなくないけれど。
彼の笑顔を見たら、それだけでいいかな、と思った。

もしこの大輪が、泣いてるのではなく笑っているのなら。



「わたしも笑わなきゃ。」



そう思うのだ。















ロングタイトル、より02。
突発的に書いた向日葵小説。ていうか、短い。爆
脈絡がない上に文が足りませんよあたし。(遠い目)
2006/05/03