伝えたかった言葉は、間違いなくその思い。

離れがたき人へ、たった一言、添えた言葉。







僕の心は言葉という羽根になり、歌という風にのって君に届くだろう







いつからか言葉を綴ることが当たり前になっていた。
僕の言葉はどこまでもフィクション。
嘘のような愛の言葉を並べて、甘い甘い声で囁く。

それは確かに僕の延長線上ではあるし、決して全てが偽りというわけではないけれど。

どうしてもときたまに、感じることがある。


嘘の言葉なんて、必要ないんじゃないのか?


まぁ、そんなこと考えたって、どうにもならないんだろうけれど。



「そりゃ、安岡の詩の魅力は甘い、ロマンチックな言葉だろうけど」
ぼおっと考えていた自分に、ぽつりと黒ぽんが話し出す。
「うん?」
「それだけじゃないだろ?感じ方は人それぞれだし、それを必要としてる人もいるよ」

“事実、そんなお前に惚れた人間が、確実に一人はいるんだ、”

と、生涯を共にするだろう人の事を話に出されて、思わず顔が綻ぶ。

「そうなんだけどね?考えちゃうんだよ、・・・こういう、言葉が浮かばないときは」
「煮詰まりすぎ。考えすぎ。眉間に皺寄ってんぞ?」
「はは、煙草の消費もコーヒーの消費も早いよ」


黒ぽんは、・・・他のメンバーもだけど、「頑張れ」とは言わない。
その言葉が、自分がどれだけ重いと思ってるかを知っているから。
というか、単に自分も言われたくないだけだ。

うちは、競争性グループだからね。

「ま、早くしないと村上がそろそろ来るから、急いだ方がいいと思うけど?」
「てっちゃんなんか知らないよ、どうせ遅刻して来るんだから。」

あはは、と笑って“確かに”と一言。
じゃ、とスタジオを出て行った後姿を見て、笑って呟いた。


「ほんっと、ウチのグループって、素直じゃない人間ばっか」




でも、だからこそ、歌っていられるのかもしれない。
お互いの胸の内を分かっていながらも何も言わない関係。
言わないんじゃない、言わなくても分かっているから。

憎まれ口を叩くのは、いろいろな理由があるけれど、

その理由もやっぱり自分たち自身がよくわかっているんだ。




「安岡ぁー!できた・・・か、って、」
「あれ?寝てる。さっきまで起きて煮詰まってたのに」
「・・・なんだ、できてんじゃん」
「ほんとだ。」






ファンのため、何て所詮いいわけだ。
結局僕たちは僕たちが歌いたいから曲を作るだけ。
そして、伝えたいことがあるから言葉を綴るだけ。


それでも、歌いたくても、煮詰まって言葉が浮かばないときは、


誰よりもあなたたちを想うよ。







僕らの言葉は、歌に乗せて君に届いていくんだ。















ロングタイトル、より7。
某5人組ヴォーカルグループより最年少氏。
…と、何故か出てくる年長組。笑
最年少は男っぽく書くことが多いですが、やっぱり最年少を意識して書きます。
そして最年少は最年長と絡ませたくなります。
正味、全員と絡ませたいのはやまやまなんだけど、あたしの力量がない故にそれができないのです。かなし。

ところで、奴は煮詰まったりするんでしょうか。笑
2006/10/18