LOVE 1st Story



「ふー・・・」

隣りに座っていた親友の風華は溜息をつき、私の方を見た。

「宿題終わったー?風華」
「まだ。」
「まだ?!んじゃ、その溜息はなんなのよ・・・」
「一段落着いたって言う意味の溜息。」
「…」



私は呆れた顔をし、風華の方を見た。



「そういう優香はどうなの?・・・ってもう終わってんじゃん」
「そう。私はあんたを待ってるのよ。」
「うわー、マジで?」
「マジ。早く終わらせないと置いて行くよ?」
「それだけは勘弁!マジで勘弁!」
「んじゃ、さっさと終わらせなさい。」
「はーい」


私、相川優香は、親友の川原風華と図書館に宿題をしに来ていた・・・が、同時に始めたハズなのに何故か終わるのは私の方が早かったのだ。なので、私は本を読みながら待っていた。



「・・・・・終了!」
「オツカレサマ」
「どうも。で、これからどうする?」
「・・・あんた藤川と約束してたんじゃなかったっけ?」




藤川というのは藤川優希という風華の幼馴染みで、彼氏。元はと言えば私が風華と藤川の気持ちを気付かせたものだったんだけど。




「・・・あ。忘れてた」


「そのために早く終わらせるために図書館へ来たのに、何のために来たのよあんたは・・・」
「あー・・・、ごめんごめん。」
「約束何時?」
「えっとねー、四時半」
「・・・もう五時よ?」
「嘘?!わーホントだ!!ごめん!帰るね私!」
「ハイハイ。せいぜい楽しんでらっしゃいな。」
「うん!バイバイ!」
「ん。じゃね!」


風華は急いで宿題を片付け、忙々と図書館を出て行った。


「さて、私もそろそろ帰ろうかな・・・と」


私は別に外に用事があるわけでもないので、読んでいた本を片付けて図書館を出た。



「あれ?相川?」


優香と風華のクラスメイトでもある、榊愁斗だった。愁斗と優香は幼なじみ。そして愁斗と優香と風華は1年の頃からずっと同じクラスで、優希とも仲が良かった。そのため、この四人はかなり仲が良かったのだ。


「・・・財布?」

優香が座っていたところに財布が落ちていたのに気付き、愁斗はその財布を拾った。


「・・・・・・『相川優香』相川のか?」





中に名刺が入ってあったので幸い、優香のものだとわかった。


「・・・仕方ねぇな。明日にでも渡すか」


そう言うと愁斗は、優香の財布を持って、図書館を出た。










*  *  *










「・・・寒い」


その時は別に真冬というわけでもなく春だったのだが、私は油断していたのか薄着をしていた。・・・今の気温は何度なんだろう、そんなことを思いながら家までの道を歩いていたのだった。


「財布持って来てたよね・・なんか温かいモノ買おっと・・・」


そうして鞄の中を探っていたが、中々出てこないので中を見てみた。

「・・・財布無い?!」

図書館で落とした・・・? そう思いながら図書館の方へ回れ右をして、行こうとした・・・が。


「寒いし明日にでも行こうかな・・今日はとりあえず早く帰ろ・・・」










「ただいまー」
「おかえりー」

家に帰ると、母・実花が出てきた。


「お帰り、姉貴」


そして、弟の亮もソファーに座りながらこっちを向かず言ってくる。

「んー…あれ?朱璃は?」
「朱璃なら二階じゃねーの。部屋に居ると思う。」
「そっか。」


朱璃というのは亮の双子の妹のこと。要するに亮と朱璃は双子だということだ。私も二階へ上がり、自分の荷物を置きに行った。


置きに行くときに母が、

「もうすぐ夕飯だから朱璃も呼んで来てね」


と言ったので朱璃と亮の部屋に行く。― コンコン ― 朱璃の部屋のドアを叩くと「何?」と声が返ってきたので私がドアを開け、朱璃に声をかけた。




「ただいま。と、もうすぐ夕飯だって。一緒に一階行こう?」
「おかえりー。夕飯?分かった。」




私と朱璃は一階に行き、夕飯を食べた。



「くしゅんっ」
「あら?風邪?」
「あー・・・そうかもしれない。」
「それならそうと早く言いなさいよね、まったく。早く寝なさいね。」
「はーい・・・」


私はもう眠くなってきていたのでベッドに入り、眠りについた。