ずっと考えていたことがあった。 例えば、もし、あなたがあたしの目の前からいなくなったら。あたしはどうするか、とか。 例えば、もし、あたしがあなたの目の前からいなくなったら。あなたはどうするか、とか。 世界がもし終わりを告げるなら、あたしはきっとあなたといるんだろう、とか。 世界が終わりを告げるときにはもうあたしはいないはずなのに。 非現実。 「もし、とかいう話は嫌いなんだけど、」 そう呟いた。 じっと見つめた目がにっこりと微笑んで、続きを催促している。 リアリティに欠けて、本当にどうしようもないくらいわけのわからない話。 「例えば、」 もし、あなたがいなくなったら? もし、あたしがいなくなったら? もし、世界が終わってしまうなら? もし、本当はあたしたちなんて存在していなかったら? 「ほんとう、リアリティに欠ける話だね?」 「だから言ったじゃない」 「教えてあげようか、その答え」 「・・・なに」 僕はいなくならないし、君もいなくならない。 世界が終わってしまうなら、一緒にいればいい。 君のそのぬくもりが嘘じゃないなら、僕たちは存在しているんだよ。 「・・・その答えも、リアリティに欠けると思うんだけど」 「実際、現実だってリアルなんてものじゃないよ。でも、ここにいて、触れて、それは嘘じゃないだろう?」 「まあ、ね」 「それなら、もし、なんて考える必要はないよ。」 「・・・どういうこと?」 「だから、君と僕は、ずっと一緒だってこと」 ・・・永遠なんてものも、物凄く不確かで、未来のことなのに。 あなたがいうと、どうしてこうも現実味を帯びてくるのかしら。 ああ、でも。 「あなたがいれば、なんとなく、信じられる気がするわ。」 |