ずっと考えていたことがあった。
例えば、もし、あなたがあたしの目の前からいなくなったら。あたしはどうするか、とか。
例えば、もし、あたしがあなたの目の前からいなくなったら。あなたはどうするか、とか。


世界がもし終わりを告げるなら、あたしはきっとあなたといるんだろう、とか。


世界が終わりを告げるときにはもうあたしはいないはずなのに。



非現実。















「もし、とかいう話は嫌いなんだけど、」

そう呟いた。
じっと見つめた目がにっこりと微笑んで、続きを催促している。
リアリティに欠けて、本当にどうしようもないくらいわけのわからない話。


「例えば、」



もし、あなたがいなくなったら?
もし、あたしがいなくなったら?
もし、世界が終わってしまうなら?



もし、本当はあたしたちなんて存在していなかったら?



「ほんとう、リアリティに欠ける話だね?」
「だから言ったじゃない」
「教えてあげようか、その答え」
「・・・なに」



僕はいなくならないし、君もいなくならない。
世界が終わってしまうなら、一緒にいればいい。



君のそのぬくもりが嘘じゃないなら、僕たちは存在しているんだよ。



「・・・その答えも、リアリティに欠けると思うんだけど」
「実際、現実だってリアルなんてものじゃないよ。でも、ここにいて、触れて、それは嘘じゃないだろう?」
「まあ、ね」
「それなら、もし、なんて考える必要はないよ。」
「・・・どういうこと?」
「だから、君と僕は、ずっと一緒だってこと」


・・・永遠なんてものも、物凄く不確かで、未来のことなのに。

あなたがいうと、どうしてこうも現実味を帯びてくるのかしら。





ああ、でも。





「あなたがいれば、なんとなく、信じられる気がするわ。」




あなたがいれば、あたしはそれだけでいいんでしょうね。( 20060503 )