夜更けの空を見つめれば、もう真っ暗な闇の中に星が点々と光り見える。
この光は今の光ではない。

けれど

何億光年も離れた宇宙から光り輝く星は僕たちに輝きをくれる。
数え切れないくらいある星の光をみて、僕は密やかに笑った。















「あー、お店から出たら凄い寒いよね・・・」
「仕方ないだろ、冬なんだから」

少し暗みを纏った空に目をやる。
もうずいぶんと暗くなったが、まだ時間的には夕方だ。
行きつけのカフェから出た僕たちは、どちらからともなく手を繋ぐ。

「寒い寒いっ、早く帰ろう・・・」
「また一段と冷えそうだしね」

“嫌な事言わないでよ”―泣きそうに笑った彼女をからかうように笑う。
笑われた彼女は、見えないけれどきっと鼻を赤くして脹れてるんだろう。
それにしても本当に外は寒くて、寒さが得意な僕でも少し震えそうになるくらいだ。
・・・日付の感覚がなくてたまに失いそうになるけど、今は十二月なのだから当然のこと。
それでも尚寒い寒いという彼女にまた笑みがこぼれる。

「来年はどうするかなぁ」
「へ?何が?」

彼女の手がだんだんとぬくもりを持つようになってきた。
とくん、とくんと脈を打つ手首が触れて、少し安心する。
ああ、僕も彼女もここにいるんだ。


「・・・一緒に、暮らそうか?」
「・・・・・・、本気?」
「もちろん。二言はないよ?」



呆気に取られている彼女に出来るだけ優しい笑顔を向けて、気にせず前を向く。
本当に本気で、今までにないくらいに緊張しているんだよ。

それを知ってか知らずか、むーっと口を尖らせて僕を見つめる。
彼女はふと足を止めて、落ち着かないように視線を泳がせた。

「・・・貴方なら」
「・・・うん」
「私はどこまでも、ついていくよ」

ふふ、と寒さで赤くなった顔を更に火照らせて笑う。
とてもとても、嬉しそうに。
彼女の笑顔を見ると何だか凄く嬉しくなって、僕も満面の笑みになる。


「寒いね」
「寒いな」



そこに浮かぶのは、幸せな笑顔。

何億光年も離れた宇宙から放たれる星よりも輝く、いつまでも続く笑顔。



君の笑顔が見たかった。
僕の願いはそれだけで。


でも、もし遠く彼方に去った君を追い掛けて辿り着いた先に、君がいたのなら。
僕はただ、君を抱き締めるとここに誓うよ。







そこに浮かぶのはきっと、何よりも輝く笑顔。




今年最後の約束。「ずっとずっと、一緒にいよう」( 20061231 )