「ニッド、いい加減にしろよ?」

そこは街中のカフェテラスだった。






二つの想い






「何が」

とぼけたように言うニッドに、青筋を立てて怒るラスティア。この二人は、まぁ世間的に言えば言わば親友、だ。いつもこの二人の間にはこんな会話が繰り広げられていて周りに居た人間は口をそろえて言う。

― ラスティアが馬鹿なだけ。 ― と。


「お前なぁ、よくもまあ毎日毎日毎日毎日…!」
「お前もよく毎日毎日毎日毎日言えるな」

勿論説明するまでも無く、馬鹿と言われた人物は前者だ。ラスティア・リーフ、と言えば一部の人には有名なリーフ家の長男。そして後者である冷静な人物が、その親友のニッド・リスマン。

どうしてこんな風に話しているのか、と言われれば…かなり時間を要するのだが。簡単に言えば彼らが言うように毎日毎日毎日毎日…そう本当に毎日、喧嘩腰で話している。原因と言えば―


「ラスティアー!あ、ニッドも!!」


ラスティアの双子の妹であるアルリカ・リーフしか、いないのではないだろうか。そのことは周りの人間たちも黙認済みで、それ故に誰も口を挟まない。というか、口を挟めばラスティアが煩いので言わないだけだが。


「アルリカ!」
「やあ、アルリカ」
喧嘩、と言っても本当にラスティアがそういう風に話しているだけでニッドはあっさりとかわしている。10年もの付き合いでまさに幼馴染みとも言える彼らだが、ここまでに至ったのは何もかもアルリカが原因と言える。

アルリカはラスティアの親友であるニッドがすき、それが全ての原因。

彼女がニッドのことをすきなのはラスティアは知っているし、ニッドも勿論気付いている。だから、だからなのだ。ラスティアはアルリカを大切にするあまりにニッドと張り合っている。・・ニッドは張り合ってはいず、ラスティアが怒鳴るだけだけども。

ラスティアは二人が話すテーブルの横で頭を抱えてブツブツと何かを唱えている。 呪う気か、ラスティア。




「ねえ、ニッド」
「ん?どうかした?」
「・・・ラスティアがね、最近変だと思うの」
「そうだね、変だ」
「何かあったのかしら・・・」
「・・・」

その上アルリカはラスティアの変わりっぷりの原因が自分だと気付いていないのだから、仕方ないのかもしれない。



ラスティアからは怒鳴られ、アルリカの天然ボケに付き合い。
・・・もしかしたら、一番可哀想なのはニッドなのではないだろうか。


「あ、それじゃあたしは友達と出掛けてる途中だから!」
「行ってらっしゃい」
「それじゃ、ね!ニッド!」


ひらひらと手を振り笑顔を浮かべるニッド。未だにぶつぶつと唱えるラスティアはガバっと頭を上げてニッドにビっと指を差した。人に向かって指差すなよ、ラスティア。


「お前がアルリカを誑かすからー!!!」


「何を言うか、人聞きの悪い」





確かに、その通りです。

「っていうかアルリカは何処に?!」
「友達と遊びに行ったよ」
「・・・ああ、もう!」

ニッドは呆れた目でラスティアを見ると大きな溜息をついた。
― 俺は何でこんな奴と親友をやってるんだろうか。








叫びつづけるラスティアを見てはもう一度大きな溜息をつく。


そして、一言ラスティアに告げた。







「いい加減妹離れしろ、馬鹿が」








ラスティア…馬鹿すぎる。
ニッドが可哀想ー!!爆笑
ラスティアがキャラ壊れてきてますね…笑

アルリカ、気付いてあげなよ…!

周りの人々、止めてやってくださいこの人ら。