出逢いは本当に些細なことだった。すきになるのも簡単で、それこそ運命だと信じきっていたような気がする。そんなもの、信じるような歳じゃないのに。でも。貴方と過ごした日々は幸せだった。毎日貴方と過ごして、毎日笑い合って、このままそんな日々が永遠に続けば良いと思っていた。─誰よりも、貴方を愛していた。 「・・・ねぇ、別れよっか」 それでも、言い出したのは他でもなく私で。貴方を愛することは出来たけれど、その優しさや愛が信じることが出来なかった。貴方が私を愛しているだなんて─と、幸せな毎日の中で考えていた。 「なんで?」 「すきだから」 ─すきだから。別れたいの。そんな理由、貴方は信じてくれるかしら? 「愛してるって、言ってほしかった」 ただ、ポツリと呟いた私は頬に流れる涙に気付くことなんてなかった。優しい微笑み、優しい腕、優しい言葉に甘えてただけだった。それはただのわがまま。そんなこと、私が誰よりも知っていた。だけど。 「・・・ごめんね、」 謝って欲しいわけでも、抱きしめて欲しいわけでもなかった。全て、私の全てを否定して欲しい。何もかも押し潰すように。いっそ、責められる方がずっと楽だった。 「すきだよ、だれよりも、すきだよ」 ―だから、もう私から離れていいんだよ? 私なんか愛さなくていいの。貴方が優しいのは知っているから。・・・貴方は、優しすぎるから私のそばにいてくれたんでしょう?だから“愛してる”って、嘘でも言えなかったんでしょう?もういいんだよ。私から離れて、いいんだよ。 「違う、」 「 嘘、でしょう・・・? 」 何もかも。 不器用な貴方の、私につける只一つの嘘だったんでしょう? 抱きしめて欲しいわけでも、キスをして欲しいわけでも、謝って欲しいわけでも、ましてや愛して欲しいわけでもない。私は貴方を愛していたけれど、貴方が私を愛すことはなかったのだから。 「今なら、私から離れられるんだよ。」 「・・・離れ、たくない」 ―いいの?信じていいの? 抱きしめられたその腕は、優しくて、私に逃げられる筈もなかった。私から離れることなんて、出来様もなかった。貴方を愛してる―そんな、私が。 「 」 終わってくれて、よかったのに。馬鹿ね。さよならって言えれば、楽だったのに。 私も、貴方も。 --- 何となくカタカタと打ってみました。たまにはこんな大人な恋愛も書こうかなぁなんて、ゴスの「LOSER」とか「逃飛行」とか聞いてたら思って。「LOSER」と「逃飛行」は書きながら聞いてたので、聞きながら読むといいかもしれない。最後の台詞は彼から彼女への愛の言葉。タイトルは彼女なりの懺悔とでも思って頂ければ。 |