LOSER

きっと何かつながるようなものがあったんだろうね、と少し廃れたビルの狭間で二人で笑い合った思い出は、今でも心に残っている。

わたしたちはいつかは在った、そのビルの跡地に居た。今ではもうそのビルはなく空き地になっている。あの頃だって在っても無いようなものだったけれど、いざという時に無いと淋しく感じるものなんだなぁと、思った。でも、わたしたちにだって環境の変化はありすぎるというくらいに起きていた。別に在っても無くても良かったビルだ。わたしたちがそこまで淋しがる必要など無いのに。

「なつかしすぎるくらい、久しぶりだよね」
「まぁな・・・このビルが在った場所も、この街も」

彼はふっと笑い、そして地に腰を下ろした。今はあの頃のような可愛げもないわたしたちに、この場所はどう思うだろうか?笑う?それとも怒る?―哀しむ?呆れる?―もしくは、無関心だろうか。―ううん、そんなことはどうでもいいんだ。ただ、ここにまた戻って来れたことだけで十分だ。きっともう二度と戻ってくることなど・・・不可能だろうから。

「五年・・・も経ってないか・・・四年ぶりくらい?」
「それくらいだろうな」
「わたしたちに、つながりなんて本当にあったのかな」

少しだけ黙り込んで―さあな、―そう、どうでもよさげに吐き捨てた。彼は昔からこんな人間だったし今更・・・そうも思ったけれど、やはり時は本当に人を変えるものなんだ。と。あんなに楽しそうにビルの狭間に入っていった彼の面影は、既にそこにはない。時が経ち、その間に泣き崩れることが何度もあった。特に、この一、二年の間は。世の中の理不尽さや、わたしたち自身の問題、ネタをあげればきりがない。けれど、いつも、そばには彼がいた。


どれほどの時間そこにいたかは、わからない。だけど、確実にその時間は迫っていた。わたしたちがわたしたちでなくなる瞬間が、少なくともすぐそこに在るのだ。覚悟なんてもの、もう疾うの昔に捨ててしまったから。



きっと、きっと、わたしたちはまた、ふたりになるのだろう。






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本当に「LOSER」というタイトルの小説を書いてしまいましたですよ…曲にはあってないけど。爆)「i am a liar」よりずっとずっと短いですね。っていうかわけわかんないよコレ。loseは失うという意味だから、loserは失った者、という意味。それだけがこの話のキーポイント。ぶっちゃけあたしにもよくわかんないです。