馴染み No.1



川原風華、藤川優希。14歳。
私たちは俗に言う、「幼馴染み」というものです。




「優希ー?」
「・・・煩い。」
「は?!」
「『は?!』じゃねーよ。お前今俺が何してっか分かるだろ?」
「・・・勉強してるねえ。」
「よく分かってんじゃん。分かってるんならとっとと出てけ。勉強の邪魔。」
「なんでよー。」
「邪魔なもんは邪魔なの。良いから早く出て行けっての。」

そう言うと優希は私を部屋から追い出した。追い出された私はというと。

「何なのさー・・・」

と、少し半泣きで、部屋の前に突っ立っていて。


幼馴染みということで、いつも一緒にいた私達。お互いの家、部屋に行くのも別に普通だった。だけど、中学に入ってから優希は少し冷たくなった。・・・って言うより、勉強ばっかりしてる・・・ってことかなぁ。


私と違って成績も良く、何もかも完璧だった優希。私は特に得意というものが無かった。その所為か、いつもいつも私は優希に助けられてたんだ。だから、私のそばにはいつも優希が居た。でも、最近何故か一緒に居ることが少なくなった。優希自身が、離れていったから・・・。








「優希!帰ろー」
「ハイハイ。分かったからもうちょっと静かにしろよ。」
「はーい・・・。」



いつも一緒に帰ってた帰り道。それは今じゃ会話もナシ。私が話し掛けても中々話が続かない。なんでだろう?そう思ってると珍しく優希が話し掛けてきた。



「なぁ・・・」
「ん?何?」

そう私が聞くと、優希は。


「お前さ、いつまでも俺と一緒に帰るのやめたらどうだ?」





思いがけない一言だった。

「え・・・?」

私はその思いがけない優希の一言に唖然となってしまった。

「どうして・・・?」

私は泣きそうになりながらも涙をこらえ、訳を聞いてみた。






「だってさ、そのうち俺らはイヤでも離れるんだぜ?なのにさ、いつまでもこうしてちゃ風華にとってダメだと思うか・・・って、風・・・華・・?」





言いかけていきなり言葉を止めると思ったら私の目から優希は目をそらした。





「優希・・・?」
「・・・・何泣いてるんだよ?俺なんか悪いこと言ったか・・・?」

「え・・・?」





そうして、頬に手を当ててみると、確かに『涙』というものは私の瞳から流れていた。明るいというのが取り得な私にとっては滅多に流れることの無い涙。





「あ・・・」






『涙』という私の瞳から流れている存在に私が気付くと、何故か更に大粒の涙がでてくる。

「風華・・・?!どうしたんだよ・・・!」
「ごめ・・・なんでも無いから・・・っ・・・じゃあ、ねっ!」






私は少し無理をして優希に微笑むと、急いで家の中に入った。大粒の涙を流しているところを優希に見られたくなかった。





何でだろう…そう思いながら、私は頬の涙を拭って二階にある自分の部屋へ上がっていった。