Precious Time -2-






“何でこんなとこにいるの?”




そんなこと聞かれても俺にだって分からない。アイツに告ったらこっぴどくフラれただけ。それのショックかはわからないけれど、いつの間にか此処にいた。


そう。ただ何も考えずにボーっとしていただけ。




そこに、クラスメイトの木川桜が来た。何で木川は、「泣けば良い」なんてことを言ったんだろう。










― ピロリン ピロリン






「げ。由紀だ。」


俺はまだ涙が枯れていなかったので俯いたままだった。木川は小波と話していて、何かを弁解しているようにも聞こえた。


「・・・ふー。」




少しだけお互い黙っていた。遠目で教室の窓から見える澄み切った青空を見つめていた。




「ね。本田。」
「・・・・何?」
「誰にフラれたのー?」




コイツは雰囲気が読めないのか・・と呆れつつ遠目で窓から見える空をまた、みた。


当の本人は何のことだかわからない様子。






「椎名だよ。」






「・・・本田って案外無謀な恋をするのね。」


「うるせぇよ。」
「椎名さんって超モテるじゃん。可愛いから。」
「まあな。」
「だから・・・





だから告ったってこと、ないよね?」





「・・・・・・・・・・ドンピシャ。」
「自分の立場をよく分かってるって。ね。」








「でも・・・さ。」








「ん・・?」

「お前が'泣けば良い'って言ってくれて


泣いて。


すっげー気が楽になった。




ありがと。な。」







「・・・・っ」
「何で照れてんのかなー?桜チャン。」
「照れてないもんー!」
「ハイハイ。」



ちょっとだけ、照れた姿が可愛く見えたなんて。



木川には絶対言えないけど。いや、言わないけど。



今の言葉は、嘘じゃないから。





本当に感謝しってから。な?