「少し、距離を置こうか・・・・・・・・・・・・・・」

そう言われてから、二日、たった。





Precious Time -6-




2日たった今でも変わらず俺は悩んでいて。互いが互いの気持ちに気付いていない所為だろうか?どこまで考えれば木川がどういう存在なのか分からない。前向きになる反面、いつになっても答えは見つからないんじゃないかと考えたりもしていた。




「・・・っ!秀一っっ!!」
「っ?!」
「・・ったく、お前目あけたまま寝てたぞ?」
「あ・・・悪ィ。」


俺の1番の親友、水口洋介。普段殆ど一緒に行動しているのはこいつだ。実は、そんな洋介にも木川とのことを全く言ってない。洋介も、気にしているのか気にしていないのかは分からないが、何も聞いて来ないので言っていないだけ。




「・・・・・・・・・・お前、まだ桜ちゃんとのことで悩んでるのか?」
「・・・ちょ、何でお前知って・・・?!」
「由紀から聞いて、な。」




ああ、そういやこいつ木川の親友の小波由紀と幼なじみだったな。そんなことをボンヤリと考えていると、また、洋介は口を聞いた。



「由紀の情報によると、桜ちゃん、相当悩んでるらしいぜ?」


思わず目を見開く。

頭の中では洋介の言った言葉が渦巻いている。久々に思い出したあの笑顔が、俺の中で何かを訴えていた。


「一緒、だったんだな。」

そう言って俯くと余計にあの笑顔を思い出す。頭を掻き毟って窓から見える'あの時'のように果てなく続く空を見上げた。


「・・・そゆこと。悩んでんのはお前一人じゃないワケ。OK?」
「ハイハイ」


「何だよその力ない返事は・・・。でも・・・多分な、桜ちゃん、お前の答えを待ってると思うぜ」





そうアッサリと言われた言葉に少し後悔した。何でって、そこまでアイツを悩ませてたんだなって。そう考えたら、何か凄い自分自身が情けなくなってきたりして。


ふっと笑うと、洋介にも笑われた。






「答え、見つかったか?」
「んー分かんねぇ。」
「とか言いながら笑ってんじゃん」
「いや、これは・・・」
「?」






木川のこと、木川の笑顔を思い出したらすげぇ悲しくなったよ。


ごめん、ごめんな。


「自分が情けなさすぎて、さ。」


自分の馬鹿らしさに少し泣きそうになりながらも堪えて、俺は頭を抱えながら



笑った。






「今の想いをそのまま、木川に言うことにするよ。」






そういうと洋介も笑って、背中を押してくれた。